ゼルニケ多項式 (ゼルニケたこうしき、英語: Zernike polynomials)とは、単位円上で定義された直交多項式である。
とくに光学において軸対称な光学収差を回折理論に基づいて解析的に取り扱う際に用いられる。。
呼称は、位相差顕微鏡の発明によって1953年にノーベル物理学賞を受賞した光物理学者フリッツ・ゼルニケに由来する。
定義
ゼルニケ多項式 は、
により定義される。ここで、 n は非負整数、 m は n ≧ |m| なる整数であり、 ρ は 動径 (0 ≦ ρ ≦ 1)、 φ は偏角である。ゼルニケ多項式は の範囲の値を取る。ここで、動径多項式 は、 n − m が偶数の場合、
また奇数の場合0として定義される。
他の定義
動径多項式は、二項係数を用いて、
- .
と書き表すことができ、これより多項式の係数はすべて整数であることが示される。
ガウスの超幾何関数を用いて表現することもできる。この表現は、漸化式や微分方程式の導出の他、本多項式がヤコビの多項式の一部であることを示すのに有用である。
動径多項式 に含まれる項 は、バーンスタイン基底関数を用いて展開できる。 n が偶数の場合は 、奇数の場合は と の積で展開される。ここで、 s は の範囲をとる。これより、動径多項式は有限次のバーンスタイン関数として表される。
Nollによる記法
2つの指数 n,m を並べて、1つの指数 j に統合する方法として、Nollにより提案されたのは、
とするものである。初めの20項を下表に示す。
OSA/ANSIによる記法
OSA / ANSI標準ゼルニケ多項式は、以下のように定義される。
初めの20項を下表に示す。
Fringeによる記法
フリンジゼルニケ多項式は、以下のように定義される。
この定義は光学設計ソフトウェアや光学検査で多く用いられる。初めの20項を下表に示す。
性質
直交性
動径部分は以下の直交関係を満たす。
偏角部分については、初等的な計算により、
ここで は のとき2、 のとき1と定義される。これらより、単位円状でのゼルニケ多項式の直交性
が導かれる。ここで であり と はいずれも偶数と仮定している。
対称性
x軸に関する軸対称性より、
原点に関する点対称性より、
ここで、 は偶数であると仮定しているので、 は と書き換えることができる。動径多項式は、n,mに応じて偶関数または奇関数である。
三角関数の周期性より、原点を中心とした m 回回転対称性が生じる。
漸化式
動径多項式は、以下の漸化式を満たす。
動径多項式の定義より、 である。これと、以下の三項間漸化式
により、すべての を計算することができる。
この式より、動径多項式の導関数を、2つの動径多項式から計算することができる。
例
動径多項式
動径多項式は以下のような式となる。
ゼルニケ多項式
ゼルニケ多項式は以下のような式となる。なお、各式は
を満たすよう規格化されている。
出典




